図解コーヒー1年生と図解ワイン1年生を読んで感じたコーヒーとワインの違い

「図解コーヒー1年生」「図解ワイン1年生」を読みました

「図解コーヒー1年生」という本をご存じでしょうか。

私はコーヒーの淹れ方や豆の選び方を学びたいと思い、こちらの本を買いました。

本屋さんに並んでいるコーヒーの本を見てみると、
産地と味わいの傾向→コーヒー器具→淹れ方→アレンジドリンクの作り方
といった構成になっていることが多いです。
一方、図解コーヒー1年生は産地や品種ごとの違いだけでなく、スーパーで売っているコーヒーからスペシャリティ向けのコーヒーの淹れ方まで、初心者がコーヒーの世界に一歩踏み出すための内容だと感じました。
コーヒーについてもっと知りたいけど、何から手を付けていいか分からない、そう思っていた頃の私にピッタリの内容でした。
単なる読み物としても面白く、特に生産地や品種ごとの味わいをキャラクター化して紹介している部分は眺めるだけで楽しいです。

実はこの本、「図解ワイン1年生」の精神的続編となっています。
どうやら「図解コーヒー1年生」の著者である粕谷哲さんが「図解ワイン1年生」に惚れ込み、コーヒー版を作りたいと出版社さんに直談判したんだとか。
出版の経緯については粕谷さんがYoutubeチャンネルにてお話しされています。


www.youtube.com

私は先に「図解コーヒー1年生」を読んでいたのですが、元ネタとなった「図解ワイン1年生」はどうなのか気になり、こちらも読みました。

本書ではワインの種類を紹介するだけでなく、ブドウの品種ごとの個性、地域によるワインの特徴や選び方まで、初心者がワインを知るための道しるべが示されています。
全くのワイン初心者でも、これを読めばお店でワイン選びを楽しめるようになるのではないでしょうか。
私も、酒屋さんやスーパーなどでワインコーナーを見て「これは○○という品種を使っているから、きっとこんな味だろうな~」なんて想像してひとりニヤニヤしています。
ちなみに、私は下戸で、ほとんどお酒が飲めません(笑)

私が感じたコーヒー界とワイン界の違い

コンセプトが同じためか、どちらの本も基本的な構成はかなり似ています。
そのため、2冊を読み比べてみるとコーヒー界とワイン界の違いを感じます。

特に印象に残っているのは、価格に関することです。
「図解コーヒー1年生」の中で、スーパーで売っている豆を美味しく淹れる方法を説明したページがあるのですが、そこにはこんな文章が載っています。

この淹れ方を発見したとき、僕は「この世にまずいコーヒー豆なんて存在せず、おいしくする努力が足りないんだな」と反省しました(笑)。

私はこれを読んだ時、「高価な豆でないと美味しくないんじゃないかと不安だったけれど、今まで飲んでいたコーヒーだって美味しいものだったんだ」と、安心したような、ちょっと救われたような、そんなふうに感じました。
ちょっと大げさでしょうか(笑)

一方、「図解ワイン1年生」ではコーヒーの値段と味の関係がちょこちょこ出てきます。
ワインの場合、この産地のワインを買うとき、これくらいの価格帯なら外れを引く確率が低い、などと値段による当たりはずれをはっきり伝えています。
安いけど美味しいワインの存在は否定していないのですが、ワインの味わいを知りたいなら適切な価格のものを買った方がいい、ということのようです。

なぜ味と価格の関係性に対するスタンスに違いがあるのでしょうか?

これは私の推測ですが、ワインとコーヒーには決定的な違いがあるのではないでしょうか。
それは、コーヒーを完成させる過程に消費者がかかわるかどうか、ということです。

ワインの場合、ワインを作る過程はすべて作り手の仕事で、消費者は完成されたワインを楽しみます。
そのため、ワインの価格には出来栄えが反映されており、美味しいワインを飲むならそれに見合った値段を払う必要があると思います。
もちろん、ワイナリーのブランドだったりブドウの出来への期待だったりで価格が変動することはありますが。

一方、コーヒーの場合、コーヒー豆の作り手は豆を精製して出荷するところまで。
残りの焙煎や抽出は消費者が行う場合がほとんどです。
コーヒー豆自体の品質も大切ですが、焙煎や抽出が適切に行われなければ、コーヒーの味わいを十分に引き出すことができません。
つまり消費者である私たちもコーヒーづくりの一端に関わっていることになります。
そのため、どんな値段のコーヒーであってもそれぞれのよさを持っていて、それを引きだして美味しくしてあげたい、という思いがあるのではないでしょうか。

例えるなら、ワインは完成した絵画として鑑賞するもの、コーヒーは生産者が作った塗り絵を消費者が色付けして完成させるもの、こんな感じなのかもしれません。

余談ですが

「図解コーヒー1年生」も「図解ワイン1年生」も著者の人柄が強く出ているところも面白いです。
「図解コーヒー1年生」の粕谷哲さんは感覚的で遊び心がある感じ。
「図解ワイン1年生」の小久保尊さんは熱烈なオタクのワイン痛。

個性的な著者の視点からコーヒー、ワインの世界を見てみるところも見どころです。